見出し画像

【開催レポート】子供の味覚教育について、わたしたちが取り組んでいること

味覚教育という新たな栄養コミュニケーションの取り組み

みなさん、「5つの基本味」を知っていますか?
5つの基本味とは、甘味・酸味・塩味・苦味・うま味を指します。
甘いものが好きだったり、辛いものが好きだったり、味や食の好みは人それぞれですが、小さい頃の食生活はその後の味覚形成に大きな影響を及ぼします。

以前から、子どもたちへの食育として栄養教育や調理実習などさまざまな取り組みがすすめられていますが、味覚に関する教育も大切なこととして注目されるようになりました。そこでわたしたちは、慶應義塾大学 SFC 研究所 健康情報コンソーシアムと共同で「こども味覚力向上委員会」を立ち上げ、行動科学の視点での栄養コミュニケーションを行っています。
行動変容は一般的に、無関心期▶関心期▶準備期▶実行期▶維持期の5つのステージを通ると考えられていて、少しずつ段階をふんでいくことで、ようやく行動変容に持続性が生まれるそうです。

子どもの味覚は一説では、12歳ころまでに決まるともいわれていますので、早い段階で味覚に対する意識をもつことは、とても大切なのです。

実践!こうすれば、減塩したものもおいしく食べられる♪

味覚教育の一環として、2022年8月に横浜で開催された第8回アジア栄養士会議(ACD2022)のサイドイベントで【Welcome Cooking Studio ~これからのアジアの食育を考える】と題した調理体験イベントを実施しました。ACDの母体であるアジア栄養士会連盟には、台湾、香港、日本、マレーシア、パキスタン、インド、フィリピン、インドネシア、タイ、韓国、シンガポール、オーストラリア の12 カ国が加盟しています。(2021年4月現在)

このイベントでは、加盟国からタイ、インドネシア、マレーシア、加えてベトナムの栄養関係者などを招き、味覚力向上レッスンで学んだ子どもたちと一緒に、調理と試食体験。うま味調味料を効果的に使用することで「おいしい減塩」が実現できることを、体験して、理解してもらいたいと考えました。日本だけでなく、アジア諸国でも「減塩」は健康にとって、とても大切。頭では分かっていても、実践するのはなかなかむずかしいですよね。そこで、減塩した物足りなさをおいしくする方法について、実際に体験してみました。

まず、子どもたちとアジア諸国の方々が取り掛かったのは「ふあふあ雲のスープ」。「丸鶏がらスープ」と卵、水だけのシンプルなスープを3つに分けて、香味のある「ごま油」、うま味たっぷり食材の「きのこ&トマト」、うま味調味料「味の素®」の味変アイテムを加えて試飲。味の違いを体験しながら、塩分を控えてもおいしく食べられる方法を学びました

実食!「おいしい減塩」料理をみんなで味わう

調理体験後は、バランスよくいろいろな食材が1皿で食べられる「にじいろのおさかなチャンプル」とうま味調味料「味の素®」だけで下味をつけ、トマトペーストや塩こうじを使った〝つけだれ〟をつけて食べる「発見!カラフル焼き鳥」でテーブルを囲みました。

実はこのメニュー、スープを併せて3品で、食塩相当量は1.9g! 
減塩メニューは、味が薄くておいしくない…と思われがちですが、味や食感の異なる多彩な食材を使ったり、〝つけだれ〟で食べる工夫をしたりすることで、塩分をおさえてもおいしく食べられるのです。

味の違いを体験した「ふあふあ雲のスープ」(左)と、減塩でもおいしく食べられる工夫のある「にじいろのおさかなチャンプル」と「発見!カラフル焼き鳥」(右)

参加した皆さんの感想を伺ってみました!

  • 「トマト&きのこのトッピングにうま味調味料『味の素®』を入れると、より味が豊かになった」(マレーシア栄養関係者)

  • 「最初は何も入れなくてもおいしいと思ったが、うま味調味料『味の素®』を加えると、よりうま味を感じた」(タイ栄養関係者)

  • 「しょっぱい、甘いとも違う、味にうま味を感じることができた」(タイ栄養関係者)

  • 「ごま油を加えると、いつも食べている味に近いものになった」(マレーシア栄養関係者)

スープでの味の違いの 体験では、このような感想をいただきましたが、子どもたちの反応は?

  • 「給食のスープよりおいしかった!」

  • 「うま味調味料入りのスープがおいしかった!!」

  • 「きのこがちょっと苦い。何も入れないほうがおいしい!!!」

そして、多くの子どもたちが「おいしい!」と感じた味変アイテムは「味の素®」入りのスープでした。 料理におけるだしやうま味の大切さがわかります。

また、このイベントを通じて、減塩や味覚教育への認識が大きく変わった人も。

  • 「大人になると味覚を変えることはむずかしいので、子どものころから味覚について学び、体験できることはよいことだと思う」(インドネシア栄養関係者)

  • 「健康的な食事はおいしくないというイメージがあったが、うま味調味料やごま油を使うことで風味が豊かになり、家庭でよく食べている味になった」(マレーシア栄養関係者)

それぞれの国の食文化には、宗教的な食の制約など、わたしたちの日常の食とは異なる部分もありますが、このイベントを通じて、共通認識を持てたことは大きな収穫になりました。
そして、「みんなで作って食べたから、おいしかった!」という子どもの声に、食を通じた異文化コミュニケーションが図れたことを感じました。

味わうだけじゃない?身体で味覚を表現する

味覚への理解を深めるために、身体表現を使った味覚教育にも取り組んでいます。それが、「食育5基本味体操」。
甘味・酸味・塩味・苦味・うま味それぞれから感じる味わいを、表情やポーズで表現することで、学ぶというものです。

アメリカでの乳児に対する味覚の研究でも、たとえば「甘味に対してはおだやかな表情を示すが、酸味や苦味には拒絶するしぐさを示す」「味つけのない野菜スープには顔を少ししかめるものの、うま味を加えるとおだやかな表情を示す」 という結果が報告されています。
(参考:特定非営利活動法人 うま味インフォメーションセンター「赤ちゃんも感じるうま味」

そんな味覚を身体で表現して楽しく学べるのが、「食育5基本味体操」です。
歌舞伎役者の中村橋吾さんが決めポーズを監修した「食育5基本味体操」は、このイベントで披露しただけでなく、ACD2022の会場ブースでも、来場者の方に体験していただきました。

ブースでは「食育5基本味体操」の決めポーズをAIが採点したり、スマホでクイズに挑戦したりするなどの体験型展示のほか、わたしたちの新たな食育への取り組みを紹介しました。
 
食や味の嗜好は、子どものときの食の経験が大きな影響を与えるといわれています。子どものころから味覚について理解すること、調理体験をして〝おいしい〟という感覚を経験することで、将来にわたる健康課題もおいしく解決できるのです。

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!